英語の洋書と絵本 ANNIE'S BOOKSHELF

 MY BOOKSHELF 1

   1-10

Forrest Gump

A Farewell to Arms

And Then There Were None

Murder on the Orient Express

Bonjour Tristesse

The Old Man and the Sea

The Firm

Master of the Game

Flowers for Algernon

The Bridges of Madison County

Forrest Gump

(フォレスト ガンプ)

Winston Groom

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

知能指数の低いフォレストガンプの奇想天外で心温まるストーリー。


あらすじと感想

舞台はアメリカ、アラバマ州。フォレスト・ガンプはIQが低く知恵遅れだけれど、友達のジェニーのことが大好きな純真な少年だった。成長した彼はフットボールの選手、ベトナム戦争での活躍、卓球、数学、チェス、プロレス、宇宙飛行士、えび事業と、類まれなる才能を開花させる。そして、旅に出ることに決めた最後、偶然にも子供を連れたジェニーと再開する。(以上あらすじ) 

 

アメリカの作家ウィンストン・グルームが1985年に発表、その後1994年にトム・ハンクス主演の映画が大ヒットした作品だ。 "gump" は、まぬけの意味。スペルミスに文法ミスの英語が最後まで続くのだが、終始ほのぼの感が漂いまるで本人に直接語られてているような感覚になる。”Flowere for Algernon" (同ページ下部参照)の主人公がそうであったように、知恵遅れの人たちは往々にして純真さ持ち合わせていて、フォレストガンプも例外ではない。

 

中盤からは物語がめまぐるしく展開して、登場するのは実在した有名人たちに相棒になったオランウータン、更には宇宙から帰還後の謎の島でのエピソード・・・。日本語で読んでいたら、ばかばかしくなって途中でやめていたかもしれない。でも、物語にはまるうちに純真なフォレスト・ガンプなら何でもありという感覚になり、気づいたら声を出して笑いだしていた。自分にもこんな素直な感覚があったと気づかされてくれたフォレスト・ガンプに感謝。読後に心を温かくしてくれるヒューマンドラマだった。

 

CHAPTER 1  より~冒頭

バカっていうのはチョコレートの箱みたいじゃない で始まる間違いだらけの英語

LET ME SAY THIS: BEIN A IDIOT IS NO BOX OF CHOCOLATES.

 

People laugh, lose patience, treat you shabby. Now they says folks sposed to be kind to the afflicted, but let me tell you---it ain't always that way. Even so, I got no complaints, cause I reckon I done live a pretty interestin life, so to speak. 

 

CHAPTER 26より~物語のラスト 

Well, so what? I may be a idiot, but most of the time, anyway, I tried to do the right thing---an dreams is jus dreams, ain't they? So whatever else has happened, I am figgerin this; I can always look back an say, at least I ain't led no hum-drum life.

  You know what I mean?

                                                                                                   2010.

アラバマ州(Wikipediaより)

A Farewell to Arms

(武器よさらば)

Ernest Hemingway

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

第一次大戦のイタリアを舞台に、アメリカ人イタリア兵とイギリス人看護婦の恋を描く。


あらすじと感想

アメリカ人のヘンリーは志願してイタリア兵として戦線に赴き、負傷して運ばれた病院でイギリス人看護婦キャサリンと出会う。二人はやがて恋に落ち、再び戦場に戻ったヘンリーは隊を脱走。妊娠したキャサリンを連れ、一晩中ボートを漕いでスイスへ渡る。しかし難産に苦しんだキャサリンは、赤ん坊と共に死んでしまう。(以上あらすじ)

 

アメリカの文豪でノーベル文学賞を受賞したへミングウェイ(1899-1961)の作品。過去に見た白黒の映画の記憶が残っていて、ぜひ読んでみたいと思っていた原書の一つだ。前半の詳細は忘れてしまっていたが、中盤真夜中の嵐の中、男女が小さなボートで逃走するシーンと最後の悲しい結末は、古めかしい白黒の映像も相まって怖かった記憶がある。

 

英語は意外に読みやすく、風景描写は美しい詩のよう。二人の会話が私にはまるでままごとをしているように感じられて、(キャサリンがヘンリーのことをDarling と呼んでいるところとか) 憧れてしまった。すっかり物語に浸ってしまい、結末を知っているだけに終盤に近づくのが怖い。最後の最後まで二人の会話があるのに、キャサリンは最終ページで一瞬にして消えるように死んでしまった。

 

CHAPTER 1より~冒頭

In the late summer of that year we lived in a house in a village that looked across the river and the plain to the mountains. In the bed of the river there were pebbles and boulders, dry and white in the sun and the water was clear and swiftly moving and blue in the channels.

 

CHAPTER 21より~ 

In September the first cool nights came, then the days were cool and the leaves on the trees in the park began to turn color and we knew the summer was gone.

 

CHAPTER 41 最終章より~赤ん坊は死んでキャサリンは息を引き取る 

  "What's the matter with the baby?" I asked.

  "Didn't you know?"

  "No."

  "He wasn't alive."

  "He was dead?"

  "They couldn't start him breathing. The cord was caught around his neck or something."

(略) 

I went into the room and stayed with Catherine until she died. She was unconscious all the time, and it did not take her very long to die.

                                                                                           2010.

And Then There Were None

(そして誰もいなくなった)

Agatha Christie

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

招待主のいないパーティで客が一人ずつ殺され、そして誰もいなくなった。


あらすじと感想

イギリスのインディアン島に10人の男女がパーティ客として招かれる。しかし招待主のオーエンは姿を見せず、10人は島から脱出不可能になる。男女はそれぞれ過去に罪を犯していて、一人ずつ殺されてゆくと同時に10個のインディアン人形が一つずつなくなっていった。犯人がわからないまま全員が殺され、そして島には誰もいなくなった。(以上あらすじ)

 

アガサクリスティ(1890-1976)の数多くの推理小説中でも、一番人気の作品。過去にテレビで映画版を見たときの恐怖感が追体験できた。オリエント急行殺人事件は車内での人物の動きが複雑で筋を追っていくのに戸惑ったが、今回はその点では単純明快。最後まで謎ときがないので、一人ずつ殺されて行くたびにドキドキさせられながら、犯人を知りたくてページをめくる手が止まらなくなる。

2010.11

Murder on the Orient Express 

(オリエント急行の殺人)

Agatha Christie

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

オリエント急行の殺人事件に遭遇した探偵ポアロが、乗客のアリバイを暴く。


あらすじと感想

イスタンブール発カレー行きのオリエント急行に乗った探偵ポアロ。その日の列車はなぜか満席だった。夜、雪により列車は途中で停車し、翌朝寝室でラチェットの死体が発見される。彼には過去に殺人歴があった。捜査に乗り出したポアロは、国籍も職業も違う乗客12人に一人ずつ事情聴取をするが、全員にそれぞれアリバイがあった。やがて、ポアロは12人全員がラチェットとかかわりがあるという事実を突き止める。そして、犯人を突き止めたポアロは、最後に2つの解答を提示する。(以上あらすじ)

 

アガサ・クリスティ(1890-1976)の代表作の1つで、1934年発表の長編推理小説。オリエント急行という設定が豪華で、個人的には彼女の作品の中でも1番のお気に入りだ。この手の小説は確実に面白いので、初めて原書で挑戦してみることにした。

 

会話文に時々フランス語が混じるものの、英語は比較的読み易い。しかし、12人の乗客の列車内での動きとアリバイがあまりに複雑すぎて、予想外にてこずった。初めは一人ひとりメモ書きをしながら読んでいたが、途中から細かな動きが追えなくなり、結局12人全員が犯人ということで良しとした。英語でなくてトリックの方が難しかったが、ワクワクしながら読めてとりあえず完読成功。

 

PART 3-CHAPTER 9より~ポアロは2つの解答を提示する 

There are two possible solutions of the crime. I shall put them both before you, and I shall ask M.Bouc and Dr Constantine here to judge which solution is the right one.

(略)

"In my opinion, M. Poirot," he said, "the first theory you put forward was the correct one--decidedly so. I suggest that that is the solution we offer to the Yugo-Slavian police when they arrive. You agree, Doctor?" 

  "Certainly I agree," said Dr. Constantine.

                                  2010.

Bonjour Tristesse

(悲しみよこんにちは)

Fransoise Sagan

★★☆  英語難易度 


別荘で夏を過ごす17歳のセシルは、心の葛藤の末、父親とアンヌの再婚を阻止しよう計画する。フランスの作家フランソワ・サガンの代表作。

2010.

The Old Man and the Sea

(老人と海)

Ernest Hemingway

★★☆  英語難易度 


老人は一人漁に出て、格闘の末巨大なカジキを仕留めるが・・・ ノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイの名著。

2010.

The Firm (法律事務所)

John Grisham

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め

ハーバード出のエリート青年が就職した法律事務所に思わぬ罠が。


あらすじと感想

ハーバードロースクールをトップクラスで卒業した主人公ミッチは、超高給を得られるメンフィスの法律事務所に就職を決める。タックスヘイブンで顧客の節税担当をしていた彼は、やがてその法律事務所がマフィアのマネーロンダリングにかかわっていることに気づく。社員が誰も事務所を辞めないのは、辞めれば謎の死を遂げるだけだからだ。やがて、FBIの捜査協力を要請されるが、主人公の策によりFBIもマフィアも欺き逃げ延びることに成功する。(以上あらすじ)

 

アメリカの作家ジョン・グリシャム(1955-)が1991年に発表、1993年にトムクルーズ主演で映画化された。ネットの書評では数ある著者の作品の中でも良いコメントが多かったので、本作を選んでみた。法律事務所と聞いてシリアスな裁判をイメージしていたが、話の展開がテンポよくハラハラドキドキのサスペンス調のストーリーだった。最後だけは実際こんなに上手くいくの?と疑問に思うくらいラッキーなハッピーエンドだったが、小説だから良しとしよう。

                                   2010.

追記

さて、本書を読んだのが2010年。ストーリーもまだ記憶に新しい2016年4月、”パナマ文書” の問題が実際に持ち上がる。世界中の指導者や富裕層が租税回避のためタックスヘイブンに資産を移していることが暴露され、小説の世界が現実問題となりG7サミットで協議されることになった。 

                                   2016.

テネシー州(Wikipediaより)

Master of the Game

(ゲームの達人)

Sidney Sheldon

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

巨大企業の一族の物語を4部構成で描いたシドニー・シェルダンの長編。


あらすじと感想

巨大企業の女社長ケイト・ブラックウェルを中心とした、4代にわたる一族の物語。1880年代に始まる1代目は、ジェミーがスコットランドからダイヤモンドの発掘を目指し南アフリカにわたる物語。騙された男の娘との間に生まれた娘のケイトが事業を引き継ぐところが、2代目の物語。3代目、息子のトニーはケイトから逃れるように画家を目指し、最後には精神異常になる。4代目はトニーの双子の娘たちの物語。わがままな姉のイブが財産を狙って、妹アレクサンドラを殺害しようと計画する。(以上あらすじ)

 

アメリカの作家、シドニー・シェルダン(1917-2007)の代表作で、1982年発表。

4代にわたる一族の物語がぎゅっと1冊に圧縮された長編で、ストーリーのテンポが早く、先の展開が知りたくてどんどん読み進められる。時間がたつのも忘れて、ページをめくる手が止まらなくなるってこういうことだなと思った。

 

が、読後感はと言うと、あまりにあれこれとあり過ぎて、なんだか疲れてしまった。登場人物は自分の欲のために生きている人たちばかりで、だましたり殺したりと手段を選ばない。人の成長を待たずにどんどん代が入れ替わっていく感じだ。3代目のトニーが気の強い母親ケイトを避けるように画家を志したところでちょっとほっとしたのだが、4代目の姉妹のストーリーは再び強烈だった。さすがに姉のイブはやり過ぎでは。そして、小説の最後90歳になったケイトがは未だ一族に君臨していて、家族で築き上げた財産を絶対守るという執念を持っている。彼女は、"ビジネスはゲームだ"と言って、それを楽しんでいるのだ。

 

PROLOGUEより~

90歳のケイトはこれまでの過去を懐かしみ、ひ孫に事業を託すのを夢見る

I am the past, Kate thought. He is the future. My great-grandson will take over Kruger-Brent Limited one day.CHAPTER 14より~

 

ビジネスはゲームだ。生き残るためにはゲームの達人にならなくてはならない

  "Business is a game," David told Kate, "played for fantastic stakes, and you're in competition with experts. If you want to win, you have to learn to be a master of the game."

  And that was what Kate was determined to do. Learn.

 

波乱万丈の一族の物語で、テレビドラマ化されるのもうなづける。しかも英語が比較的簡単で、洋書が読めた!という満足感を得るのにうってつけ。初めて洋書の長編に挑戦してみたい人にお勧めNo.1である。

                                   2010.

Flowers for Algernon 

(アルジャーノンに花束を)

Daniel Keyes

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

知的障害の青年は脳手術を受け天才になるが、哀しい結末が待っていた。


あらすじと感想

チャーリーは心の優しい知的障害の青年。ハツカネズミのアルジャーノンの知能上昇の実験が成功し、彼は次なる臨床実験のモデルに選ばれる。実験は成功し彼のIQは185まで上昇するが、今まで見えていなかった人間社会を理解し苦悩するようになる。やがてアルジャーノンの死により実験には欠陥があったことが判明し、自らの知能も元に戻ってしまう。(以上あらすじ)

 

物語は、"PROGRIS RIPORT  MARTCH 3"  と書かれたチャーリー自身の報告書の形式で始まる。最初の数ページ、実験によって知能が高くなるまではしばらくスペルミスの英文が延々と続いていく。やがて、人を疑うことを知らなかったチャーリーは、知能が高くなったことにより見えてきた現実に困惑するようになっていくのだ。SF物と分類されていた本書だが、これはむしろヒューマンドラマである。後半、知能低下を止められないと知っても、現実を受け入れようとするチャーリーが素晴らしくて、大いに感動した。

 

スペルミスの英文から始まるチャーリーの報告書

PROGRIS RIPORT  MARTCH 3 

Dr Strauss says I shoud rite down what I think and remembir and every thing that happins to me from now on. I dont no why but he says its importint so they will see if they can use me.

 

知能の上がったチャーリーは、パン屋の同僚がいかさまをしていたことを感づく。

I started to tell him he had made a mistake, but in the mirror behind the counter I saw a wink and smile that passed from the customer to Gimpy and the answering smile on Gimpy's face.

 

人が自分を笑うのは友達だから。以前の純真なチャーリーに戻った

 P.S.   please tel prof Nemur not to be such a grouch when pepul laff at him and he would have more frendsIts easy to have frends if you let pepul laff at you. Im going to have lots of frends where I go.

 

本書タイトルとなった最後の一文

  P.S.   please if you get a chanse put some flowrs on Algernons grave in the bak yard.                                                                                            2010.

The Bridges of Madison County   

(マディソン郡の橋)

Robert James Waller

★★☆  英語難易度 

(^^)/  お薦め  

アイオワ州を舞台に、写真家と農家の主婦の4日間の恋を描いたベストセラー。


あらすじと感想

アメリカ、アイオワ州の片田舎。農場の主婦フランチェスカは、夫と子供たちが出かけた4日間を一人家で留守番をすることになる。そこへ、カメラマンのロバート・キンケイドが、ローズマンブリッジの写真を撮りたいと道を尋ねてくる。道案内をきっかけに、いつしか急速に縮まっていった二人の距離。しかし、フランチェスカは家族を捨てることができないと、4日間の永遠の恋愛を胸に彼と別れる決心をする。(以上あらすじ)

 

1992年、アメリカのロバート・ジェームズ・ウォラー著。クリントイーストウッドとメリルストリープの大ヒットした映画が懐かしく、図書館でたまたま原書を見つけ手に取ってみた。毎日代わり映えのしない生活を送っている田舎の平凡な主婦のところに、夫とは違ったタイプの男性が現れ、少女のような新鮮な気持ちになる。この作品、つまりは不倫なのだが、多くの女性たちが少なからず自分の果たせなかった夢をこの作品の中で見ているのだろうか。かくいう私も、一時の夢にすっかりはまってしまい、4日目の別れのところでぼろぼろと泣いてしまったのである!

 

この作品が文学作品として高尚かと言えば、単なる恋愛小説の域を超えていないような気もするが、原書を読む限り、少なくとも映画から受けた印象よりはずっと純文学に近い感じがした。好き嫌いが分かれると思うが、英語は読みやすいので恋愛小説が好きな人にはお薦めであると思う。下記、号泣した箇所を記しておく。

                                    

The Highway and the Peregrineより~

雨の交差点でロバートの車に接近するフランチェスカは、心の中で別れを告げる。

  For maybe twenty seconds they sat there. He was up ahead, only thirty feet from her. She could still do it. Get out and run to Harry's right door, climb in over the knapsacks and cooler and tripods.

(略)

  "I was wrong, Robert, I was wrong to stay...but I can't go...Let me tell you again...why I can't go....Tell me again why I should go."

(略)

"Good-bye, Robert Kincaid," she whispered. and began to cry, openly.

 2010.

アイオワ州