英語の洋書と絵本 ANNIE'S BOOKSHELF

 MY BOOKSHELF 4

   31-40

DEWEY

LIFE OF PI

A Woman's Life

Incidents in the Life of a Slave Girl

Running With Scissors

Look Me In The Eye

Marcelo in the Real World

The Scarlet Letter

Pride and Prejudice

Jane Eyre

DEWEY

Vicki Myron

★★☆  英語難易度 

アイオワ州の図書館に捨てられた子猫Deweyを育てる図書館職員の物語。


あらすじと感想

しばらく入院することになったので、何か気軽に読めて最近興味を持ったアイオワ州が舞台の小説は? 検索をかけると、すでに読んだ "マディソン郡の橋" の次に出てきたのが "Dewey" だった。アメリカ、アイオワ州のある図書館。冬の凍えるような日に一匹の子猫が捨てられた。図書館職員の著者はその子猫を図書館で育てることにする。愛嬌たっぷりの Dewey はやがて町の人々をも癒していくようになる。

 

Introduction は、私のイメージし続けたアイオワの風景でスタート。物語りの大半は愛嬌たっぷりの Dewey のお話で、きっと猫好きにはたまらないはず。そして、1匹の猫と共にアイオワの美しい自然や地域の人々の人生に触れることができる。少々想定外だったのは、著者や家族ががんに見舞われたりするくだりで、入院中楽しく読もうと思っていただけに少々戸惑う。(それでも興味が先に立って、難解な医療の専門用語を辞書で調べてしまったけれど。) 今回はアメリカについて勉強する機会があり、州や都市名、気候風土をはじめ全般的な知識が増えたお陰で、洋書が非常に読みやすくなっていた。久々の完読で大いに満足!

                             

Introduction  Welcome to Iowaより~美しいアイオワの風景

There is a thousand-mile table of land in the middle of the United States,between the Mississippi River on the east and the deserts on the west. Out here, there are rolling hills, but no mountains.

(略)

Out here, the roads are straight, stretching to the horizon in long, unbroken lines. There are no corners, only occasional, almost imperceptible bends.

(略)

  In northwest Iowa, in winter, the sky swallows the farmhouses.

(略)

In the spring, the world is flat and empty, full of brown dirt

(略)

But if you come in the late summer, 略 The corn is nine feet high,bright green leaves topped with brilliant gold tassels.

(略)

 That's what I love about northwest Iowa: it is always changing. Not in the way the suburbs change as one chain restaurant replaces another or the way cities change as buildings crowd each other ever higher, but in the way the country changes, slowly back and forth in a gentle motion that is always sliding forward, but never very fast.

 

CHAPTER 19 The World's Worst Eaterより~次々に病に見舞われる著者  

That might seem like a small thing but it all the difference to me because, you see, I didn't have anybody to touch. There was a distance between me and the world, and there was no one to hug me, to tell me it was going to be okay. It wasn't  just  the surgery. 

 

CHAPTER 22 Dewey Goes to Japanより~日本のマスコミでも話題に 

A few months later, in May, six people from Tokyo arrived at the Spencer Public Library. They had flown to Des Moines, rented a van, and driven to Spencer. Iowa in May is beautiful. The corn is just below eye level, three or four feet tall, so you can see the fields spreading into the distance.

 2015.12

アイオワ州

LIFE OF PI

(ライフ・オブ・パイ 虎と漂流した227日)

Yann Martel

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め

インドの少年パイは、嵐で船が難破し動物と漂流する。


あらすじと感想

2001年、ヤン・マーテルによるファンタジー冒険小説で、ブッカー賞受賞作品。2012年映画化され話題になり、映画の予告編の迫力ある映像に魅せられ読みたくなった。

 

少年パイの家族はインドで動物園を営んでいる。パイとは自分で付けたニックネーム3.14のΠ。家族は動物と共にカナダへ移住することとなり、日本のカーゴ船に乗り込むが、嵐で船は難破。トラのリチャードパーカー、ハイエナ、オランウーラン、シマウマ、そして一人パイがボートで生き残るが、弱い動物から順に殺され、残ったリチャードパーカーとパイが漂流を続ける。途中ミーアキャットの住む島にたどり着くも、食人島とわかり再び漂流へ。ついにメキシコに漂着、リチャードパーカーは森へ姿を消し、パイは助けられる。そして、驚愕の事実が最後に明かされる。(以上あらすじ)

 

主人公は、自分の名前をからかわれても、パイ(Π)と呼んでもらうことで切り抜ける利発な少年。宗教に興味を持ち、延々と自分の世界観を語っている前半部分は難解で、いつになったらトラと漂流するの?と、ページを飛ばしたくなったが・・・。いよいよ漂流してからは一気に引き込まれた。表現がリアルで、どこまでがファンタジーなのかわからなくなってしまう感覚。海の上の過酷な描写が続いた後、ミーアキャットの島でつかの間の安らぎを与えられるも、再びボートへ脱出。ファンタジー小説とわかって読んでいるものの、後半部分からパイとリチャードパーカーの関係がよくつかめなくなり、読み間違っているのだろうかと不可解な気分でついにメキシコに漂着。

 

そして、最後の最後で、その不可解な部分こそ作者の手法であったことに気づき茫然となった。明かされたのは、4匹の動物は人間の暗喩であり、パイ自身がリチャードパーカーだったということ。サバイバルのファンタジー小説だと思って最後まで来たが、その裏には非常に重いテーマがあった。最終部分で、動物との漂流版、人間同士ののサバイバル版と2つのストーリーが提示される。さて、どちらを信じるか。

 

今回パイと漂流中に、韓国での客船遭難事故が起き、他人事とは思えない気持ちになった。多数の尊い命が失われたこと、心よりご冥福をお祈りいたします。

 

CHAPTER 5より~変わった名前をからかわれ、3.14のパイと呼ばせる奇策に出る 

My name is

Piscine Molitor Patel,

known to all as 

-- I double underlined the first two letters of my given name--
Π=3.14

 

CHAPTER 99より~パイによるもう一つのストーリーとは 

"Then we fought and I killed him.

I stabbed him repeatedly. His blood soothed my chapped hands. His heart was a struggle--all those tubes that connected it. I managed to get it out. It tasted delicious, far better than turtle. I ate his liver. I cut off great pieces of his flesh.

2014.4

A Woman's Life  (女の一生)

Maupassant

★★☆  英語難易度 

ジャンヌは夢見ていた結婚が実現するが夫ジュリアンの裏切りに会う。


あらすじと感想

修道院を出た貴族の娘ジャンヌは、ほどなくジュリアンと知り合い、夢見ていた結婚が実現する。しかし、女中のロザリーがジュリアンの子を出産、ジャンヌも妊娠がわかり離婚を諦める。その後もジュリアンは知人夫人と密会、逆上したその夫は二人のいる小屋を崖上から突き落とし殺してしまう。溺愛していた息子ポールは成長して放蕩息子と化し、度々ジャンヌに金を要求するようになる。失意のジャンヌのところに追い出したロザリーが戻り、屋敷を売り払い、孫娘の世話をすることになる。(以上あらすじ)

 

フランス、モーパッサン(1850~1893)の代表作。

海外の名作ということで中学時代に翻訳本を読んだが、当時は何がよいのか全くわからなかった。そして月日が流れ、今回英語にて再読した。面白かったという表現は適切ではないが、なかなか良かった。物語は結婚、出産、子育てという女の一生。今なら自分が経験してきたからこそ、理解できることがある。ジャンヌが世間知らずと言えばそれまでだが、彼女なりに精一杯生きていることが伝わってきた。英語は細かい描写で丁寧に描かれているが、何とか読みこなすことができた。

                                                                                            

CHAPTER 4より~ジャンヌは夢見ていた結婚をする

  Married! So she was married! everything, every movement, what she had done that morning, seemed just a dream. It was one of those moments when all around us is strange; even gestures take on a new meaning and the regular procession of the hours is broken.

 

CHAPTER 14 最終章より~ロザリーの言葉 

Then she added, no doubt in answer to her own thoughts; "You see, life is never as good or as bad as one thinks.'

 2014.2

Incidents in the Life of a Slave Girl

(ある奴隷少女に起こった出来事)

Harriet Jacobs    

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

白人雇い主から逃れるため7年間も隠れ家に潜み、北部へ逃亡し自由の身となるまで。


あらすじと感想

アメリカ南部、奴隷として生まれたリンダは、読み書きを教えてくれた優しい女主人の死去により 12歳でフリント医師に売られる。苦難の生活が始まり、医師から逃れるため別の白人の子を出産、7年間もの間祖母の家の隠れ間に身を潜める。発覚を恐れついに北部へ逃亡、自分の子供たちとも再会を果たし職を得る。南部からの追手に不安を抱える日々は続くが、善良な白人の助けを受け、フリントの死去によりついに自由の身となる。(以上あらすじ)

 

黒人女性 ハリエット・ジェイコブズ(1813-1897)の自伝。

新聞広告欄に黒柳徹子さん推薦の本として紹介され、図書館ではすでにかなりの人数の予約待ち。そこでamazonで原書版を購入した。黒人奴隷と聞いて私が思い浮かぶのは、"風と共に去りぬ"、"アンクルトムの小屋"、テレビドラマの ”ルーツ” などだが、本書が貴重なのは黒人女性自身によって書かれているところ。150年前に書かれた英語は多少表現が硬いものの、私の英語力でも読みこなすことができた。

 

7年間の隠れ家生活は、アンネの日記を彷彿させる。娘との別れのシーンではぐっとくるものがあり、続く息子との別れでついに泣いてしまった。著者は強く前向きで優しさも持ち合わせるクリスチャンだが、フリント医師の死の際も今まで受けた仕打ちを許せないと本音を記している。アメリカの負の歴史を考えさせられた一冊だった。 

 

CHAPTER 1 冒頭より~ 

I was born a slave; but never knew it till six years of happy childhood had passed away.

 

CHAPTER 27より~一人先に北へ向かうこととなった娘のEllenとの一瞬の再会

"But I shan't have Benny, or grandmother, or uncle Phillip, or any body to love me. Can't you go with me? O, do go, dear mother!"

 

CHAPTER 30より~息子Bennyをおいてついに北へ逃亡を計るLinda

He whispered in my ear, "I've been peeping into the doctor's window, and he's at home. Good by, mother. Don't cry, I'll come." He hastened away.

 

CHAPTER 37より~Mr. Bruceの娘に伴いニューヨークからイギリスに航る機会を得る

The people I saw around me were, many of them, among the poorest poor. But when I visited them in their little thatched cottages, I felt that the condition of even the meanest and most ignorant among them was vastly superior to the condition of the most favored slaves in America. They labored hard; but they were not ordered out to toil while the stars were in the sky, and driven and slashed by an overseer, through heat and cold, till the stars shone out again. Their homes were very humble; but they were protected by law.

2014.1

Running With Scissors

(はさみを持って突っ走る)

Augusten Burroughs

★★☆  英語難易度 

両親の離婚を機に母親の精神科医の家に居候し、堕落した生活を送る。


著者は Look me in the eye の弟。主人公は両親の離婚を機に、母親の精神科医の家に居候すことになるが、そこはかなり突拍子もない家庭で、学校にも行かず体たらくな生活を送ることとなる。

2013.

Look Me In The Eye  (眼を見なさい!)

John Elder Robison

★★☆  英語難易度 

(^^)/  お勧め

大人になってアスペルガ―症候群と診断されたロビソン氏の自伝。


あらすじと感想 

著者は小さい時から友達ができず、人とアイコンタクトをするのが苦手だ。父親は大学教授でありながら酒癖が悪く、両親の喧嘩も絶えない。学校生活はスムーズにいかず、高校の途中でついに退学となる。が、独学で身に着けた知識と彼の突出した才能により、あの有名ロックバンド、KISSのサウンドエンジニアとなった。後に結婚し子供も生まれ、車の会社を立ち上げて、落ち着いた生活を手に入れる。そして。40歳にして初めて自分がアスペルガー症候群であることが判明し、今までの対人関係に対する悩みの原因を知ることとなった。(以上あらすじ)

 

1959年、アメリカ、ジョージア州生まれの著者Robisonにより2007年に出版。

”アスペルガー”なる言葉を初めて知って興味を持ち、ネットなどで情報を得る中、この自伝に出会った。アスペルガーという認識がなかったため対人関係に苦労するさまを、素直にユーモラスに描いていて、英語も平易で楽しく読める。”少し変わっているな?” と私が今まで感じていた人たちは、きっとこんな思考回路で物事を考えているのかな、と思いを巡らせながら読んだ。確かに、大多数の”普通の人” と少々違うがために生きづらさを覚える著者であるが、最後、父親の死期が迫るくだりでの微妙な心の葛藤は大いに共感できて感動した。著者にとっては良い思い出が何一つない父親でも、その父にとっては息子との楽しい思い出が少なからずあったことを伝えられ、そのことは大いに著者の慰めになるのである。

 

2. A Permanent Playmateより~

友達に、"僕のトラック見て” と言われたら返す言葉は・・・ 

And at the end, I smiled with relief.

Here were some things I might have said prior to this revelation in response to "Look at my Tonka truck":

 a) "I have a helicopter."

 b) "I want some cookies."

 c) "My mom is mad at me today."

 d) "I rode a horse at the fair."

 

(略)the correct answer, was:

 e) "That's a neat truck!  Can I hold it?"

 

3. Empathyより~他人の不幸を笑ってしまうわけ

Here is what went through my mind that summer day:

  Someone got killed.

  Damn! I'm glad I didn't get killed. 

  I'm glad Varmint or my parents didn't get killed.

  I'm glad all my friends are okay.

  He must have been a pretty dumb kid, playing on the train tracks.

  I would never get run over by a train like that.

  I'm glad I'm okay.

  2013.

追記1

本書を初めて読んだのは2013年。それから5年。今回はアメリカの大学について検索している中、主人公の著者の父親が大学教授だったことを思い出し、久々に本書を取り出して読み返してみた。5年前はアメリカの都市名がいまいちピンと来ていなかったのだけれど、その後少しずつ知識が増えていった私。著者は幼少のころ、ジョージアからフィラデルフィア、シアトル、ピッツバーグと転居を重ねるのだが、なるほど、父親が大学で教鞭をとっていたから大学街を渡っていたのだなと分かるようになった。最終的に父親はマサチューセッツ大学アマースト校(UMass, Amherst)でのテニュアの教授職を得る。そのためAmherstの大学街、周辺の Hadley, Northhampton, Shutesbury, Ashfield, Sunderland, Springfieldなどの街や、アマーストカレッジ、スミスカレッジなどが文中に登場する。一緒に、東海岸のボストンから西へ150kほどのそれらアメリカの田舎をGoogle mapで追ってみた。

 

5. I Find a Porscheより~新居の一画は親がみんな大学の先生だ 

All the houses on our street were brand-new. And all the parents living in them taught at the university, except for a few who taught at other schools, like Amherst College or Smith or Mount Holyoke.

 

10. Collecting the Trashより~ 

父親の教授仲間のパーティでは、優秀な息子娘の話題になる。

  "We have a son about your age," he told me. "We're very proud of him. He's starting at Harvard in the fall." Just then, another couple walked over and the woman said, "Our daughter Janet has decided to go to Smith.

 2018.5

追記2 ボストン&アマースト旅行記(アメブロ)

何と旅行が実現しました。憧れのボストンへ、そして軽井沢の別荘地のような小さなカレッジタウン、アマーストまで足を伸ばしました。

2018.10 

マサチューセッツ州  (Wikipediaより)

Marcelo in the Real World

(マルセロ インザ リアルワールド)

Francisco X. Stark

★★☆  英語難易度

自閉症スペクトラムの障害を持つマルセロの成長。


自閉症スペクトラムの障害を持つマルセロは、一般社会に適応すべく、父親の経営する法律事務所でアルバイトを経験する。初めて経験する”現実の世界”で、彼は戸惑いながらも成長していく。

2012.

The Scarlet Letter  (緋文字) 

N.Hawthorne

★★★  英語難易度 

赤いAの文字を胸につけて生きるへスタープリンの苦悩の人生。


戒律の厳しい17世紀アメリカニューイングランド。夫がいる身で牧師との子を出産した罪として、赤いAの文字を胸につけて生きるへスタープリンの苦悩の人生を描く。

2012.

Pride and Prejudice  (高慢と偏見)

Jane Austen

★★★  英語難易度 

17-8世紀のイギリスの片田舎、5人姉妹が繰り広げる恋愛模様を描いた古典文学。


あらすじと感想

ベネット家には娘ばかりが5人。長女のジェーン、次女のエリザベス、3女のメアリー、4女のキャサリン、5女のリディア。ベネット氏はのんびり屋だが、妻のベネット夫人は娘の結婚相手探しに必死だ。そんな一家のところに、独身で資産家のビングリ―がやってくるところから物語が始まる。

 

イギリスの作家、ジェーン・オースティン(1775-1817)が1813年に発表。今から200年も前の小説だ。前回、ブロンテの "ジェーン・エア" がスムーズに読めたので、同じく恋愛小説の "Pride and Prejudice" に挑戦することにしたが、さすがに古典。読んでも読んでも堅苦しい文体が続いて1/4程進んだところでギブアップし、初の★3つの英語難易度をつけることになった。

 

心機一転、再度日本語版で読み直すと流石の一流文学。それぞれ性格の違う5人の娘たちの恋愛と結婚をめぐる日常を通して、18世紀当時のイギリス社会や女性の結婚事情が見えてくる。当時の女性には職業がほとんどないために、少しでも裕福な結婚相手を見つけようと躍起になる。そこへ、家の格、年齢、容姿や器量と、お互いのプライドと偏見が交差する。あれこれとドタバタ劇が繰り広げられ、5女にあっては駆け落ち騒動を起こす。終始娘の婿探しに躍起になっているベネット夫人が、娘が一人片付くごとに喜んでいる様もおかしい。こういった類の男女の駆け引きの物語は、源氏物語のころから変わることがないのだなと思う。小説の冒頭部は、かの夏目漱石も絶賛したとの記述を見つけたので、下記に記しておくことにした。

                                     2012.

CHAPTER 1 冒頭より~

IT IS A TRUTH universally acknowledged, that a single man in possession of good fortune, must be in want of a wife.

  However little known the feelings or views of such a man may be on his first entering a neighborhood, this truth is so well fixed in the minds of the surrounding families, that he is considered as the rightful property of some one or other of their daughters.

 

独身の青年で莫大な財産があるといえば、これはもうぜひとも妻が必要だというのが、おしなべて世間の認める真実である。

 そうした青年が、はじめて近隣のひととなったとき、ご当人の気持ちだとか考え方などにはおかまいなく、周辺の家のひとびとの心にしっかり焼き付いているのはこの真実であり、その青年は、とうぜんわが娘たちのいずれかのものになると考える。

小尾芙佐 訳

Jane Eyre  (ジェーンエア)

Charlotte Bronte

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

ジェーン・エアのたくましく生きる姿を描いたブロンテの古典傑作。


あらすじと感想

孤児になったジェーン・エアは、叔母のリード夫人に引き取られるが、虐げられた環境から逃げ出すため寄宿学校へ入る。成長した彼女は教師として2年過ごした後、ソーンフィールドの屋敷で家庭教師として働くことになる。やがて、主のロチェスター氏に結婚を申し込まれるが、彼には屋敷に幽閉されていた狂人の妻がいることが判明。ジェーンは家を逃げ出し、牧師とその妹たちに助けられる。やがて、火事でロチェスター夫人が死亡したことを知り、盲目となったロチェスター氏と結婚する。(以上あらすじ)

 

イギリスの作家、シャーロット・ブロンテ(1816-1855)の1847年の作品。

中学生のころ、大人の世界や未知の外国に憧れ海外の小説を読み出した。その中で好きだったのが、”風と共に去りぬ” と ”ジェーン・エア”。テレビ放映で見た映画でも、たくましく生きる主人公の姿が印象的だった。”風と共に去りぬ” の原書は最後まで読み切る自信がないので、今回は”ジェーン・エア”に挑戦だ。

 

最初のクライマックスは、寄宿学校で友達のヘレンが病死してしまうシーン。天使のように清らかなヘレンに感情移入し、早速泣いてしまった。そして物語のメイン、屋敷に狂人の妻を閉じ込めるという展開はまるでオペラ座の怪人だ。映画の中の恐怖を思い出しつつ、屋敷の怪事件にどきどきさせられながらページをめくった。当時は少なからずこういったことが実際にあったのだろうと思いを巡らせた。そして、屋敷を出て荒野を進むたくましいジェーンを映画のシーンに重ねながら読んだ。

 

CHAPTER 9より~友達のヘレンはジェーンと眠りに落ち、そして息を引き取った。

"Are you going somewhere, Helen?  Are you going home?"

"Yes; to my long home---my last home."

(略)

”But where are you going to, Helen? Can you see? Do you know?"

"I believe; I have faith: I am going to God." 

(略)

"How comfortable I am! That last fit of coughing  has tired me a little; I feel as if I could sleep: but don't leave me, Jane ; I like to have you near me."

(略)

 

--but a day or two afterwards, I learned that Miss Temple, on returning to her own room at dawn, had found me laid in the little crib; my face against Helen Burn's shoulder, my arms round her neck. I was asleep, and Helen was--dead.

 

長かった。が、読めた!感動した! 途中ソーンフィールド邸のエピソードのあたりで難解な英語に四苦八苦し少しつまづいたものの、物語に引き込まれて一気に最後まで読んでしまった。昔愛読した小説を時を経て原書で読み直せたという、なんとも言えない満足感が得られた。私も、結構成長できた(^^)/

2012.