英語の洋書と絵本 ANNIE'S BOOKSHELF

 MY BOOKSHELF 2

   11-20

The Great Gatsby

The Third Man

Lucky Man

To Kill a Mockingbird

EAT, PRAY, LOVE

A Thousand Country Roads

Interpreter of Maladies

The Phantom of the Opera

Tuesdays with Morrie

Who Moved My Cheese?

The Great Gatsby 

(グレイト ギャツビー)

F.Scott Fitzgerald

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

高級住宅地の豪邸で毎晩パーティーを繰り広げるギャツビーの正体は。


あらすじと感想

ニックはニューヨークの証券会社に勤めるため、郊外ロックアイランドのウエスト・エッグに越してくる。隣人のギャツビーは大邸宅で毎晩豪華なパーティを開いていて、ニックも招待を受けた。しかし、参加している客たちは誰もギャツビーのことをよく知らないのだ。対岸のイーストエッグには昔の恋人でトムと結婚してしまったデイジーが住んでいた。ギャツビーは戦争から帰還後運よく財産を築き上げ、デイジーがパーティに訪れるのを待っていたのであった。一方、デイジーの夫のトムは自動車修理工場の2階に住むマートルと浮気をしていた。ある日、ギャツビーの車を運転していたデイジーが誤ってマートルを引き殺してしまう。ギャツビーはデイジーの身代わりになるが、マートルの夫のジョージに射殺され、ジョージも拳銃自殺したのだった。(以上あらすじ)

 

アメリカの作家、スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)が、1925年に発表。グレイト・ギャツビーと検索をかけると、アメリカ文学の代表作、最高峰の一つ、北米高校生の必読書、と言った記述が並んでいる。しかも、あの村上春樹も大変影響を受けた作品ということで、2006年に彼による日本語訳版も出ている。知らないと恥ずかしいほどの作品らしいので挑戦してみることにした。

 

本小説は冒頭からしてなかなかの曲者であった。格調高い文章で人生の訓示を垂れているようなところだが、諦めずに読み進める。(下記に冒頭部の村上春樹訳を記した。)毎晩の贅沢な酒宴に始まり、浮気、ひき逃げ、射殺・・・というストーリー展開で、これがアメリカの高校生の必読書かとちょっと驚いた。

 

しかし、単なる成り上がりものと思っていた主人公が "人としてまっすぐであった" ことが、最後になって示される。一方で彼の恋人と浮気夫、今まで群がっていたすべての人々がギャツビーの元を去り、人間の醜さが顕になる。少し納得したのは、これを読まされているアメリカの高校生たちが、レポート提出に四苦八苦しているという記事を見つけたときだ。これはちょうど、日本の高校生が、夏目漱石の”こころ” を読まされているような感じだろうか。高校生が微妙な女性関係を国語の授業用にまとめるのは、至難の業であるように。

 

CHAPTER 1 より~

In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since.

 "Whenever you feel like criticizing anyone," he told me, "just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had."

僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。

「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと。」

 

Only Gatsby, the man who gives his name to this book,  was exempt from my reaction---Gatsby, who represented everything for which I have an unaffected scorn.

本書の題名に名前を使わせてもたったビャツビーという人物一人だけが、そのような僕の思いから外れたところに位置している。実のところギャツビーは、僕が「こんなものは絶対に我慢ならない」と考えるすべてを、そのまま具現したような存在だった。

 

No---Gatsby turned out all right at the end; it is what preyed on Gatsby, what foul dust floated in the wake of his dreams that temporarily closed out my interest in the abortive sorrows and short-winded elations of men.

そうーギャツビーは最後の最後に、彼が人としてまっすぐであったことを僕に示してくれた。果たされることなく終わった哀しみや、人の短命な至福に対して、僕が一時的にせよこうして心を閉ざすことになったのは、ギャツビーをいいように食い物にしていた連中のせいであり、彼の夢の航跡を汚すように浮かんでいた、醜い塵芥のせいなのだ。

                                 (村上春樹 訳)

                                 2011.

The Third Man  (第三の男)

Graham Greene

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 


大戦後、ウィーンにやってきたマーチンスは、友人ライムが殺されたことを知り、真相を究明することにする。観覧車のシーンで有名な映画の原作。

2011.

Lucky Man (ラッキーマン)

Michael J. Fox

★★☆  英語難易度

若くしてパーキーソン病を発症したマイケル・J・フォックスの自叙伝。


あらすじと感想

マイケル・J・フォックスは1961年、カナダ生まれ。テレビドラマ ”ファミリータイズ” のヒットや、映画 ”バックトゥザフューチャー” の主役、マーティー・マックフライ役で大ブレイクした人気俳優だ。小柄でお調子者のマーティが、スケードボードを巧みに操っている姿が印象的だった。しかし彼は30歳の若さでパーキンソン病を発症する。そして、1998年に病気を公表し、2003年に ”ラッキーマン” を発表した。表紙いっぱいに広がるはにかんだ表情の裏で彼は何を思っているのか、思わず本書を手に取ってみた。

 

CHAPTER 1より~初めて左の小指に震えを感じた。

I woke up to find the message in my left hand. It had me trembling. It was't a fax, telegram. memo, or the usual sort of missive bringing disturbing news. In fact, my hand held nothing at all. The trembling was the message.

 

英語は難解な単語がそれなりに含まれるが、ストーリーは読みやすい。子供のころの回想や、俳優として成功したエピソード、そして病を発症し押しつぶされそうになる不安や心の葛藤が、素直に赤裸々に語られている。そして、自分自身を見つめて、成功した俳優人生はもちろん、病気となったことも含め、常に支えてくれる愛すべき家族や周囲の人々の存在に感謝している。自らを”ラッキーマン”と称す前向きな気持ちが、読者に感動を与えていると思う。

                                   2011.

To Kill a Mockingbird  

(アラバマ物語)

Harper Lee

★★☆  英語難易度

(^^)/  お気に入り 

アラバマ州を舞台に弁護士の父親に育てられる幼い兄妹の日常を描く。


あらすじと感想

1930年代のアメリカ南部アラバマ州。主人公の少女、通称スカウトと兄のジェムは、弁護士である優しい父、アティカス・フィンチとお手伝いさんと住んでいる。近所に住む謎のブー・ラドリーのところへ肝試しに行ったり、毎夏やってくる少年と遊んだり、日常はゆっくり流れていた。そんな中、父アティカスが黒人トムの弁護を引き受けることになった。トムはマイエラへの強姦の疑いをかけられ、アティカスは裁判で無実を証明しようとする。しかし、有罪が決まってしまったトムは護送中に逃走し、射殺されてしまうのだ。ある日、学校の仮想会の帰り道、スカウトとジェムはマイエラの父親に襲われるが、助けてくれたのはあのブーだったのだ。(以上あらすじ)

 

アメリカの作家、ハーパー・リー(1926-2016)が、1961年に発表。翌年1962年には、グレゴリー・ペック主演で映画化され、彼は主演男優賞を受賞ている。できれば名著と言われているものを読みたいとネットの書評を参照すると、今回は本書に行き当たった。人格者でやさしい父親に育てられる兄妹の日常を子供の目線で描いた、アメリカ文学の名作である。

 

アラバマ州の町での兄弟の日常はゆっくり語られている。父親のアティカス・フィンチは幼い子供たちを温かく見守り、子供たちも父を信頼している。親子の会話は温かく、子供たちは日々の経験を通して少しずつ成長していく。人種差別問題を扱ってはいるものの、これと言ってハラハラどきどきさせるような展開があるわけではない。謎の隣人ブーが、最後に小説の鍵となって現れ、やっと、ああそうだったのかと初めて物語がかみ合っていることに気づかされることになる。そして、読み終わって暖かい心で胸がいっぱいになっている自分に気づき、これが人々に読み継がれ名作と言われる類の物だと思ったのだった。mockingbird は、マネシツグミまたは物まね鳥。作品中の親子の会話の中に登場する。

 

CHAPTER 10より~アティカスに 物まね鳥を殺してはいけないと言われる 

Atticus said to Jem one day, "I'd rather you shot at tin cans in the back yard, but I know you'll go after birds. Shoot all the bluejays you want, if you can hit'em, but remember it's a sin to kill a mockingbird."

(略)

  "Your father's right," she said. "Mockingbirds don't do one thing but make music for us to enjoy. They don't eat up people's gardens, don't nest in corncribs, they don't do one thing but sing their hearts out for us. That's why it's a sin to kill a mockingbird."

 

読み終わって、You Tubeの古い映画をのぞいてみた。私はふと、はるか昔亡くなった父を思い出した。多忙で家にはあまりいなかったので普段は放任だが、私たち姉弟に優しく、本当に必要な時だけ相談にのってくれるいやなところが一つもない父だった。そんな父だから、高いものをねだったり何か悪さをしようなどとも全く思わなかった。子供たちに慕われているところがアティカスみたいだなと、懐かしく思い出した。

                                                                                       2011.4.

アラバマ州

Eat, Pray, Love  

(食べて 祈って 恋をして)

Elizabeth Gilbert

★★☆  英語難易度 

イタリア、インド、インドネシアへと自分探しの旅に出るエリザベスの旅行記。


2010年にヒットした、ジュリアロバーツ主演の 映画の原作である。

2011.

A Thousand Country Roads 

(マディソン郡の橋最終章)

Robert James Waller

★★☆  英語難易度 

”The bridges of Madison county”(マディソン郡の橋) の続編。


永遠の4日間を過ごしたキンケイドの、過去とその後の物語。

2011.

Interpreter of Maladies 

(停電の夜に)

Jhumpa Lahiri

★★☆  英語難易度 

停電の夜になると、秘密の話を打ち明け合う二人は・・・


9編の作品が収録された短編集。

2011.

The Phantom of the Opera

(オペラ座の怪人)

Gaston Leroux

★★☆  英語難易度

(^^)/  お気に入り 

オペラ座に棲みついた怪人エリックはクリスティーヌを地下水路に連れ込む。 


あらすじと感想

パリのオペラ座に住み着く怪人エリックは、歌手クリスティーヌに恋をしていて、月給とボックス席の確保を支配人に要求していた。また、ラウル子爵も彼女が好きだった。エリックに連れ去られたクリスティーヌを探し出すため、ラウルは謎のペルシャ人と共に地下水路に潜り込み捕えられてしまう。クリスティーヌはエリックの"生ける花嫁"となり、エリックは皆を開放して死亡する。(以上あらすじ)

 

ジェラルド・バトラー主演のミュージカル映画をテレビで見てすっかり魅了され、原書に挑戦してみた。私の頭の中では怪人エリックは美化され、クリスティーヌと恋人ラウルは素晴らしい歌声と一体化している状態で、食い入るように文字を追った。

 

ガストン・ルルーによる原作は1909年。英語は少々難解で、前半は著者の取材談という形式、後半はペルシャ人自身の手記という設定に少々戸惑う。映画やミュージカルではラブストーリー的な要素が強いが、原書では、醜悪な容姿のため親にも愛されなかったエリックの悲惨な生い立ちのくだりがあり、実際当時は社会から隔絶されて生きる人々が少なからずいたのだと思いを巡らせた。

 

PROLOGUEより~オペラ座の怪人は実在した 

The Opera ghost really existed. He was not, as was long believed, a creature of the imagination of the artists, the superstition of the managers, or a product of the absurd and impressionable brains of the young ladies of the ballet, their mothers, the box-keepers, the cloak-room attendants or the concierge.

 

CHAPTER 26(最終章)より~

エリックはクリスティーヌの額にキスをする。母親さえもさせてくれなかったキスAnd...and...I...kissed her!...I!...I!...I!...And she did not die!...Oh, how good it is, daroga, to kiss somebody on the forehead! ...You can't tell!...But I! I! ...My mother, daroga, my poor, unhappy mother would never...let me kiss her...She used to run away...and throw me my mask! ...Nor any other woman...ever, ever! (略)

Then Christine kissed me, for the first time, herself, here, on the forehead-

 

映画の感動の追体験は大成功で、結局この後、劇団四季のオペラ座の怪人を見てしまった。怪人エリック役は佐野正幸さん。圧倒的な歌唱力に魅了され、ピアノの楽譜を購入して英語の歌詞も追い、you tubeでジェラルド・バトラーを再度堪能するに至った。 

2010.12

Tuesdays with Morrie

(モリ―先生との火曜日)

Mitch Albom

★★☆  英語難易度

(^^)/  お薦め 

難病ALSで死を目前にした大学教授のモリ―先生の最後の授業。


毎週火曜日、筆者ミッチは難病ALSで死を目前にした大学教授のモリ―先生に会いに行く。昔の恩師から教え子への、人生の最後の授業を綴った感動のノンフィクション。

 2010.

Who Moved My Cheese?  

(チーズはどこへ消えた)

Spencer Johnson

★☆☆  英語難易度 

2匹のねずみと2人の小人がチーズをめぐって繰り広げる寓話。


1998年アメリカで発刊され、ビジネス書のベストセラーになった。2匹のねずみと2人の小人がチーズをめぐって繰り広げる寓話。100ページ程で英文が易しく読みやすいので、洋書入門として。

2010.